【藤沢ドローン人身事故について】
ドローン人身事故は何故起きたのか―事前の電波調査で事故は防げる
─ 2017年2月に神奈川県藤沢市の建設現場でドローンが墜落、人身事故が発生しました。事件後、電波調査を担当されたと伺いました。その概要についてお聞かせください。
酒井 建設現場を空撮するために飛行していたDJIのファントム3に何らかのトラブルが起こって自動着陸を始め、クレーンに接触して墜落、作業員に衝突して負傷しました。2015 年12 月の航空法改正以降、日本国内で起こった初のドローンでの人身事故になります。作業員は顔を負傷。事故調査チームからの依頼を受けて私達が電波調査を行いました。
─調査で判明したことは？
酒井 ドローン墜落の理由として、大きく3つの事象が挙げられます。まず、事故現場は街中で、大量のWi-Fi が使われており、Wi-Fi 帯を使うDJIの機体は本来の性能を十分に発揮できる状態ではなかったこと。次に、建設現場隣のマンションに設置されていた携帯基地局のアンテナから強力な電波が出ており、強力な電波干渉を受けた機体の受信機が感度抑圧を起こしていたこと。そして、ドローンパイロットがドローンのほぼ真下で操縦を行っていたことです。ドローンのアンテナは横方向に強く縦方向に弱いという電波特性を知った上で、ドローンを操縦すべきでした。この3つの条件が重なり、ドローンが制御不能になったものと思われます。
─ 事故防止のため、どんな対策がとれるのでしょうか。
酒井 事前の電波調査ですね。通常私達が行っている『電波環境調査』では、現場の電波状況を調べた上で「安全な飛行」の可否を段階評価したり、飛行に際しての注意点をレポートで提示したりしています。また、電波状況をヒートマップのような形で示し、飛行の参考にしていただけるようにしています。行政や大企業を中心としたニーズが確実に高まっており、たいへん多くのお問合せをいただいています。
戸澤 私達がセミナーや各種記事で、ドローンを安全に飛ばすために「電波を知ること」の重要性を主張してきたことが、ここ1、2年でようやく一部の方々に理解され始めたという段階です。
（取材日／2019 年1月17 日）
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