~デジタル田園都市国家構想の実例紹介_第3回~

 

少子高齢化問題に直面している熊本県玉東町が取り組んでいる

防災マップデジタル化推進事業

 

 

玉東町は熊本県北部に位置し、熊本市・玉名市に挟まれ、みかんをはじめとした果物の生産が盛んな人口約5300人の山間の小さな町。定住促進をはじめ、少子高齢化問題への取り組みを余儀なくされる中、デジタル化に移行する現場で実際に起きている課題を含めて、玉東町役場・総務課の村上様に伺いました。

 

※「みかんと史跡の里・玉東町」のイメージ画像です。

 

 

◎玉東町役場・総務課:村上 恵 様◎

これまで他部署にて児童福祉や学校教育などの業務を担当、令和4年度から総務課に異動となり防災業務を担当している。3月まで総務課で消防・防災業務を担当していた前任者から業務を引き継ぎ、未経験の防災分野でこれまでの経験を活かしながら、防災のデジタル化に取り組んでいる。

 

 

 

【防災マップだからこそ、情報は常に最新版を反映する】

 

― 今回、デジタル田園都市国家構想を活用して防災マップをデジタル化したということですが、その経緯を教えてください。

 

庁内の組織に企画財政課があり、国の交付金事務等を担当する職員がいます。昨年(令和3年)度初頭からその担当者が職員全体に向けて、デジタル田園都市国家構想の交付金情報を発信してくれていました。しかし、玉東町のような小さな町では役場の職員は掛け持ちで仕事を担当している状況ですので、交付金の情報も「良いのはわかっているけれど…」と、通常業務に追われてなかなか手がまわらない状況でした。

 

九州地方では近年、毎年記録的な豪雨災害が起きている状況があり、玉東町は山に囲まれた地形ですから防災に関することは常に身近な課題としてありました。その中で、防災マップは紙で作っていましたが、県や国が水防法や土砂災害警戒区域を新しく指定する毎に作り変えなければならず、出来上がるまでの間は住民に最新情報を届けることができないという課題がありました。

また災害は、いつでもどこでも起こりうるので、その時に紙のマップが手元にあるとは限りません。

 

※防災マップ:山北地区洪水ハザードマップおよび全体図(提供:玉東町役場)

 

 

紙のマップを常に持ち歩くのはあまり現実的ではないですし、どれが最新版なのか紙のマップを一目見ただけではわかりにくいですよね。

 

防災情報は常に最新であることが大切ですから、デジタルの防災マップにすることで、住民の方がスマホなどでいつでもどこでも最新版の情報を取得できるようにしたい、という思いがありました。そこへ、企画財政課の担当者がデジタル田園都市国家構想の交付金情報を粘り強く発信し続けてくれたことで、交付金の申請につながりました。