山間部、一級河川、リアス式海岸… 圧倒的な自然に立ち向かう！佐伯市消防本部のドローン利活用

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大分県佐伯市消防本部通信指令課消防司令補山口泰弘

広大かつ複雑な地形を有する地域では、情報収集力と迅速な情報共有がカギとなる。九州一広い面積を誇り、豊かな自然に囲まれた大分県佐伯市では、ドローンの利活用にあたってどのような工夫を施しているのか。佐伯市消防本部の活用事例について紹介する。

【地域課題とドローン導入について】
市所有のドローンで検証後、消防本部に導入

―佐伯市の概要について教えてください。

大分県南東部に位置し、面積が約903㎢と九州で最も広い面積をもつ市です。地形は、九州山地から広がる山間部、一級河川番匠川下流に広がる平野部、リアス式海岸の続く海岸部に大きく分けられます。これら自然の特性から、豊富な森林資源を背景にした林業、温暖な気候を利用した農業、豊後水道の恵みを生かした水産業等、各産業が育まれています。

―災害・防災分野での傾向と課題について。

太平洋に面した多くの地域がそうであるように、佐伯市も南海トラフ地震の発生が危惧されています。また、近年は台風や集中豪雨等の自然災害も多発しており、災害からの被害を最小化するためには市民一人一人の防災意識の向上が重要です。消防本部としては、情報収集と情報共有体制の構築、装備・機材を充実させ、地域防災力をさらに強化していく必要があると考えています。

―ドローン導入のきっかけを教えてください。

市の防災局には既にドローン１機が導入されていました。そこで、防災関係機関とドローンを活用した訓練を実施した結果、災害時のドローンの機動力は被災後の活動に大きく影響する被害状況や現場活動域の把握に大変有効であると感じました。今後の消防活動に活かせる可能性が大きいという結論に達したことがきっかけで、平成29 年に消防本部での運用が始まりました。

―どのような運用をされていますか。

平成19 年２月に制定された「佐伯市地域防災計画」の一部の内容を令和３年２月に改定し、ドローン運用を業務に取り入れています。改定の内容としては、災害・被害状況の緊急把握の後、正
確な被害状況を調査するため、各対策部は職員を派遣しドローンを活用した調査を開始する、という規定等を盛り込みました。これにより発災後の状況把握といった消防業務をより確実に遂行できるよう市との連携を図っています。それから、ドローンはバックアップを含めて２機を保有しています。パイロットについては、まず３名がドローンスクールで受講し、操縦者認定を受けました。その後、彼らのスキルを活かし、年次計画でパイロットの育成を行っています。現在40 名が航空局からパイロットの承認を受けている状況です。当本部の内規としてドローン運用規定を設け、承認を受けたパイロットは定期的に飛行訓練を行い操縦技術の維持・向上に努めています。

（取材日／2021 年５月12 日）

▶大分県佐伯市消防本部
〒876-0047 大分県佐伯市鶴岡西町1-223
TEL ：0972-22-3301
URL： https://www.city.saiki.oita.jp/syoubo119/default. html

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