日本が抱える物流課題】
人手不足、買い物弱者、コロナ禍での非対面・非接触の配送ニーズの増加…高まる自動配送ロボットへの期待
― 経産省が自動配送ロボット関連事業に着手した目的と経緯を教えてください。
海外、特にアメリカでは約３年以上も前から、利便性の低い配送サービスなどの物流課題への対応策として、自動配送ロボットへの関心が高まっていました。一部の州ではロボットの公道走行を可能とする規制緩和が進められるなど制度面も整いつつあり、自社ロボットでオンデマンド配送サービスを提供するスタートアップ企業も出てきていました。
その頃の日本はラストワンマイルの課題が顕在化してきたタイミングで、自動配送ロボットへの期待はあったものの、これまで制度面などの具体的な議論も行われてこなかったために、世界から大きく遅れをとっていました。
―ラスト1 マイルの課題とは。
物流はB to B が約９割、B to C が約１割で成り立っており、B to C の部分が「ラストワンマイル」と呼ばれます。近年、EC の普及、コロナを契機として増加した巣ごもり需要やドライバーの高齢化等によって、宅配需要の高まりと担い手不足が同時に進み、ラストワンマイルの配送の課題はさらに顕在化しています。日本ロジスティクス協会の調査によると、2027 年に物流現場の人手不足は24 万人に達し、2030 年には物流需要の約36％を運べなくなるという試算も出ています。2024 年度からはトラックドライバーの時間外労働に上限規制が入るため、現状のままではますます物流課題は加速してしまう可能性があります（2024 年問題）。
加えて買い物弱者の問題も年々深刻化し、何らかの対策を必要としている自治体が85.9% にのぼっている状況。これらの課題を解決へと導くために、経済産業省物流企画室の主導で2019 年度に「自動走行ロボットを活用した配送の実現に向けた官民協議会」を立ち上げたのです。2020 年度はコロナ禍における巣ごもり需要の影響で、EC が前年度比約21％増、宅配便取扱個数は約11.9％増、また非対面・非接触での配送への関心も高まりました。ますます自動配送ロボットの普及は急務となっており、国をあげて取り組みを加速しています。
【官民協議会の活動と成果】
2019年度～2021年度実装に向けた制度整備が進む
（取材日／2022 年３月４日）
▶経済産業省 商務情報政策局
商務・サービスグループ 消費・流通政策課 物流企画室
〒100-8901
東京都千代田区霞が関1-3-1
TEL ：03-3501-0092
URL： https://www.meti.go.jp/policy/
コロナ特別号 with / after コロナ時代のドローン新活用
EDACでは、年々広がりを見せるドローン等を活用した課題解決の取り組みを推進すべく、自治体や企業等によるドローン等先端技術の利活用事例を取材し、EDAC会員の皆様へ会報誌として展開しております。 この度、11名の識者によるwith / after コロナ時代における新たなドローンの活用や展望についてまとめた会報誌特別号を発刊いたしました。通常はEDAC会員の方にのみお送りしておりますが、新たなドローン活用の普及展開のため、今回は特別に下記のサイトよりお申込みいただいた方にも有料にてお送りいたします。
コロナ特別号 with / after コロナ時代のドローン新活用 販売サイト