【交通課題と自動配送ロボット】
高齢化で移動困難者が急増する今「届ける」仕組みが求められている
― 公共施設交通政策課の役割を教えてください。
甫喜山 公共施設と公共交通に関する業務を担っている部署です。公共交通の分野では、市内を走るJR や路線バス等の各交通事業者とも協力しながら、市内の公共交通を充実させるための施策を進めているほか、交通安全や防犯等にも取り組んでいます。
新 公共施設の分野では、市内の公共施設（役場庁舎や教育関連施設）の総合的な計画や、町づくり全般に関する業務を担っています。
―玉野市の概要と交通の課題は。
甫喜山 岡山県の南部に位置する、瀬戸内海の美しい自然に恵まれた温暖な気候の港町で、面積が約100 平方キロメートル、人口は約5 万8000 人です。高齢化率が令和２年度末時点で約38％と非常に高くなっております。人口減少・高齢化にともなって公共交通の利用者が減り、バス路線等の維持が難しくなってきているので、市民の足を確保するためにコミュニティバス「シーバス」や乗合タクシー「シータク」を運行させています。
新 当市は「日本のエーゲ海」といわれる瀬戸内海の多島美が素晴らしい反面、山と海が近く起伏が激しい土地です。景色の良い山のほうに住居を構えている方も多いのですが、十分な公共交通は確保されていませんし、シーバスやシータクを組み合わせても、高齢で足腰が弱り移動に困る方も増えてきています。
―どのような解決策を考えていますか。
甫喜山 これからは移動手段の拡充だけではなく家まで物を届ける仕組みが必要になると思案していたところ、２年ほど前に三菱商事（株）様から「ルート最適化技術を活用した自動配送ロボットの実証実験を玉野市でやりたい」という申し入れがありました。
新 当市はそれまで自動運転や自動配送は視野に入れておらず、シーバスやシータクを活用した貨客混載等での課題解決を検討していたのですが、話を伺うなかで自動配送ロボットは当市にとって非常にメリットが大きいことを知りました。買い物難民の救済のためにも、コロナ禍で高まる非接触ニーズに応えるためにも、ぜひ実用化を目指していきたいと思い、挑戦することを決断したのです。その後、国が自動配送ロボットの早期社会実装に向けて大々的に動き始め、当実証実験も成長戦略実行計画に基づくプロジェクトとして進められることになりました。
（取材日／ 2021 年11 月４日）
▶岡山県玉野市役所 公共施設交通政策課
〒706-8510
岡山県玉野市宇野1-27-1
TEL ：0863-32-5588（代表）
URL： https://www.city.tamano.lg.jp/
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